ワンコ目線のチャーミングな写真や動画が、インスタグラムで大人気の狆チワワのナッツ君とチワワのペカちゃん。家に来てから1週間は誰にも身体を触らせないほど怖がりだったペカちゃんは、優しいお兄さん犬ナッツ君に励まされて、どんどん成長しています。今回は『あの仔のヒストリー』初の保護犬ペアの登場です。
<Photo by ナッツ君&ペカちゃんママ>
ナッツ君のうちの仔記念日2015年1月7日
ペカちゃんのうちの仔記念日2020年8月3日
出会い
ナッツは元々は私の友人が飼っていた犬でした。ある日、その友人から「離婚するのでしばらく預かって欲しい」と頼まれたんです。その後、全く音沙汰がなかったので連絡をいれたところ「面倒を見れないので、返されても保健所に連れていく」という返事が返ってきました。それならばとうちで引きとることにしたんです。ナッツは玄関につなぎっぱなしにされていたようで、最初の頃は無表情で人間に対する愛着もなく、ご飯も欲しがらないし、散歩に連れ出しても意味がわかっていないようでした。そんな宇宙人のような犬でも、夫婦でいろんな場所に連れ出すうちに、どんどん感情表現が豊かになっていったんです。完全に家族に溶け込むまで、それほど時間はかかりませんでした。
ナッツを迎えてから数年後、旦那さんともう一匹飼いたいねと話していたときに、出会ったのがペカでした。先住犬がいる場合、保護犬の引き取りはハードルが高くなります。うちの場合は先住犬の存在に加えて、30代の子どものいない夫婦ということで、子供ができた後に保護犬を返却するケースが多いからとなかなか譲渡してもらえませんでした。そんな中で「穏やかな先住犬がいること」が譲渡条件になっていたのが、ペカでした。
早速ナッツと一緒にお見合いに行きましたが、怖がりと聞いていたので1時間ペカに全く触れずに自然に任せていました。その対応を見て、保護団体さんも私たち家族にならペカを任せられると信頼してくださり、うちに迎えることになりました。
うちの仔になって
ナッツに関してはしつけという意味では何の苦労もありませんでしたが、ペカとは信頼関係を築くまで本当に時間がかかりました。ペカは元繁殖犬で、チワワのブリーダーが事業縮小するにあたり手放すというので保護団体がレスキューしました。おそらく極度の怖がりで、人間になつかないことも廃棄の理由の一つだったようです。うちに来たときも、人が体に触れることを断固拒否し、夜は夜で「寂しいよー、不安だよー」と訴えるように悲しげな遠吠えをしていました。男性が特に苦手で、主人がトイレシートを変えようと近寄っただけで、近所にこだますような悲鳴をあげて暴れました。一方で犬は大好きでナッツのそばから離れず、そのあまりのしつこさのせいで、ナッツが体調を崩すほどでした。
大変だったこと
ペカは新しい環境になかなか慣れずに、最初のうちは食欲もなく、ずっとお腹を壊していました。足もお尻も💩で汚れてしまっているのに、触れることができず、見ているのが本当に辛かったですね。今、大きな地震が来ても助けてあげられないと思うと、涙が込み上げてきました。それでもそこはぐっとこらえて、敢えてこちらからアクションを起こしませんでした。「嫌なら無理しなくていいんだよ」というスタンスで、私は床に座ってただ楽しそうに映画を見たり、ナッツと笑いながら触れ合ったりしてペカが反応するのを待ちました。
そうして1週間くらい経ったある日、ペカちゃんが私のスリッパにお尻をちょこんとのっけて座ったんです。次の日にはちょっと体を触らせてくれて、翌日にはその時間が長くなりと、徐々にその距離が近くなっていきました。怖がりの保護犬に対しては、焦らず、向こうから来てくれるまで黙って待つしかないということを、このときは身をもって感じました。
幸せを感じるとき
今はナッツもペカもすっかり家族の一員になり、休みの日には私と主人、ナッツとペカで普段は行けないようなところにまでドライブに行きます。はしゃぎ過ぎたナツ&ペカが、帰りの車中で爆睡している姿を見ると、とても穏やかな気持ちになります。
あの身体を触らせてくれなかったペカも、今では常に抱っこをせがむ甘えん坊です。あれほど怖がっていた主人の膝を、しょっちゅう二匹で取り合っています。そんなときは、喧嘩をしないようにナツ&ペカをソファに連れていって家族みんなでくっついて座ります。そのまま安心しきって寝入ってしまったナツ&ペカを見るときが、今一番幸せな時間ですね。
これからのこと
実はペカを迎えたのは、私たち夫婦が不妊治療を諦めたことも理由の一つでした。ところが、驚いたことに、ペカがうちに来て2週間目に赤ちゃんを授かったんです。今年はペカに妹ができます。家族が増えるので、現在新居も建築中です。人間の子供と新生児の頃から一緒に暮らすことで、ペカの人に対する恐怖心がやわらぐのではと、今から期待しています。そうして赤ちゃんとナッツとペカが、一緒に体をくっつけて寝てくれるようになったらこれほど嬉しいことはないですね。
ペカを見ていて、血統書付きの小型犬だから幸せということはないんだなとあらためて実感します。怖がりの保護犬に対しては、焦らないことが一番大切です。「あなたのためにここまでしてあげているのに」というのは人間の独りよがりであって、犬には伝わりません。向こうから来てくれるのを辛抱強く待つことで、必ず大きな幸せが返ってきます。
そばかすペカちゃんもようやくうちに慣れてきましたが、その兄貴分ナッツおじさんは今年は推定12才になります。今後は健康で長生きできるように気を付けたいですね。そうしてこれからも、家族みんなが幸せになれる形を模索していこうと心に決めています。
※ナッツおじさんとそばかすペカちゃんのインスタグラムはこちら
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